こんにちは、ONE Xのりゅうです。今日はマルケタ(ティッカーシンボル:MQ)の事業概要について簡単に解説しつつ、今後のフィンテック業界の展望について考えていきたいと思います。
■マルケタってどんな会社?
マルケタ社は主にディベロッパー向け(金融関連事業の開発者等)にクラウドベースのオンライン・オフラインクレジットカード発行、及びトランザクション処理(≒決済処理等)を提供しています。EC関連のディスラプター、デジタルバンク提供者、テックジャイアント、大規模な金融機関など向けにソリューションを提供しています。創業は2010年で本社はカリフォルニア州オークランドですね。
有名どころの取引先ですと、ツイッターの創業者でもあるスクエア(ティッカーシンボル:SQ)、米国一のデジタル配送サービスのドアダッシュ(ティッカーシンボル:DASH)、ライドシェアサービスのUBER(ティッカーシンボル:UBER)、バイナウペイレイターという新興系の支払いサービスを提供し、買い物代行サービスのインスタカート、ペイパル創業者のマックス・レブチン率いるアファーム(ティッカーシンボル:AFRM)などです。
デジタルネイティブと言われる超イケてる企業をメイン顧客に抱えていることがポイントです。
■マルケタのサービスとは?
マルケタはカード発行とその処理を高速化するサービス提供事業者です。主な競合はビザ(ティッカーシンボル:V)やマスターカードなどです。最近、オンライン決済サービスで超流行っているStripeと似たようなサービスに見えますが、プラットフォームレイヤーが異なります。後述しますね。
過去は、カード発行にはかなりの時間と審査を要していたため、デジタルネイティブ系の企業にとってはハードルが高かったわけですが、マルケタは、仮想カード・物理カードの即時発行と開発されているシステムとのAPI連携をしやすくしたサービスを提供することに成功しました。クラウドベースですので、カード発行や支払い手数料も従来比で安く、不正管理やトランザクション管理・最適化も進んできています。金融サービスの開発者にとっては、なくてはならない存在になっていると言えます。
マルケタが現状提供しているメインサービスは下記10項目です。
・デジタルバンキング
・経費管理系ソリューション
・保険金請求の迅速化
・インセンティブと報酬の最適化ソリューション
・メディア購入等の最適化
・オンデマンドサービス
・旅行業者の支払い最速化
・バイナウペイレイターの融資機能
・オンラインマーケットプレイス
・中小企業向け融資
デジタルバンキングについては日本国内でも流行ってきていますね。主にSBIネット銀行がデジタルバンキングスキームを既存金融機関や金融業を取得していない事業会社などに提供していっています。開発者目線のAPI連携最適化という意味では、マルケタの方が使いやすいものになっていると言われていますね。その他にもクレジットカードの支払いが発生しそうなシーンごとに最適化されたソリューションを提供しており、金融決済における不を解決しているディスラプターと言えるかと思います。
■Stripeとの違いは?(1)
フィンテック業界でもう1社有名なのが3月にの資金調達を行ったStripeですね。IPO前の時価総額が既に10兆円を超えています。彼らは、ShopifyやZoom、Slack等の決済システムのバックエンドを支えています。彼らは開発者がAPI(=自社サイトに組み込む口)経由で手軽に自社サイトへ搭載できる仕組みを構築しました。クレジットカードや銀行口座を既に持っているユーザーはStripeの決済システムを活用して、支払いができます。私もStripeのAPIはよく利用させて頂いています。
つまり、カード発行の代表格はMarqeta、店舗開拓の代表格はStripeという構造になっています。プラットフォームレイヤーが少し異なるので純粋な競合とは言えないです。
因みにまだ、銀行口座もクレジットカードも持っていないユーザーについては、マルケタのシステムを活用して、仮想カード、物理カード、一時的に使用できるカードなどを発行して、即時決済を行うこともできます。
■マルケタはBNPLのどこをサポートしているの?(2)
先日、アファームとアマゾンの提携が話題になりました。マルケタは、アファーム、Klarna、Afterpayの3大BNPL(≒バイナウペイレイター)事業者を支援していますが、アファームのBNPLのバックエンドをサポートしているわけではない様です。
BNPLは自社の決済を実装していない店舗でも後払いを使えるようにするため、ユーザーへバーチャルカード発行機能を提供しています。例えば、ユーザーがアファームの加盟店以外で決済する場合は、アプリを通じて有期限のバーチャルカードを発行しているようです。ここにマルケタのシステムが活用されています。
マルケタはBNPLの「カードの仕組みを活用して後払い先を拡大する」というニーズを満たしています。BNPLのほか、Squareなどの決済事業者、デジタルバンク、UBERなどのシェアリングサービスについても、カスタマイズされたカードを迅速に発行しています。
私が大好きなスクエアの個人向けcash card(≒Cash App)、ビジネス向けSquare cardにもマルケタのシステムは活用されています。先日、彼らが買収したAfterpayの実店舗向けバーチャルカードの発行もサポートしています。スクエアとマルケタはもはや一心同体のパートナーという感じですね。
実は、マルケタはアップルの決済サービスのバックエンドもサポートしています。具体的には、Apple Payですね。これはマルケタ1社ではなく、JPモルガン・チェースと共同で導入を進めているようです。既存の金融機関もマルケタと組まないと勝ち抜くことができないところまで来ているようです。
■マルケタはどんな脅威が考えられるの?
マルケタは典型的なデジタルネイティブ系の既存プレイヤーディスラプター(=破壊者)と言えます。VISAやマスターカードが牛耳っていたクレジットカード発行&トランザクションサービスのシェアを奪いにいくと言われています。考えられるとしたら、ビザなどのブランドネットワーク系の企業が急速にデジタルトランスフォーメーションをして、マルケタの顧客を奪いにくるということですが、現状の重たいトランザクションの仕組みなどをどのようにしていくのかという課題が残ります。
海外でマルケタに勝るディスラプターが出てくると話は変わるかもしれませんが、現状3億枚以上のカード発行を行ってきたマルケタを今からディスラプトしにくることは考えにくいと思います。隣接するプラットフォームを運用するStripeが市場を奪いにいくことも考えられなくはないですが、現状ここまで顧客基盤をマルケタが構築しているので、部が悪いと思います。もし、読者の皆さんの中で「ここが競合になりうる!」という企業がいれば、教えて頂きたいくらいです。
■激変するフィンテック業界について
今、まさにフィンテック業界は変革期にあると思います。アファームなどのBNPLやクラウドベースのサービスを展開するマルケタやStripe、アプリベースのCash AppやVenmoなどが世の中に広まってきて、既存の金融機関やビザ、マスターカードなどの地盤が少しずつ揺らいできています。金融業界は超大きなTAMがございますので、変革企業に注目していきたいと思います。明日はBNPLの市場について少し詳しく解説をしていこうと思います。
※本ブログ記事作成で(1)(2)についてNCB Loungeさんツリーを参考にさせて頂きました。引用元URL記載が漏れており、ご指摘も頂きました。ご不快な想いをさせてしまい、申し訳ございませんでした。
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