ONEX’s blog

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東南アジアの王者SEA Limitedとは何者だ?!

こんばんは。ONE Xのりゅうです。今日は東南アジアの王者となったSEA Limitedについて私見を述べていきたいと思います。日本国内だとあまり有名ではないので、SEA Limitedが何者かわからない人のためにも少し丁寧に語っていきたいと思います!とりあえず、先行者のEC企業をゴボウ抜きしていったスーパーグロース企業です。詳細は以下を読んでくださいね!さぁ、行ってみましょう!

 

◉創業チームはどんな人たち?!

この企業のCEOはフォレスト・リー氏ですね。中国生まれですが、上海交通大学スタンフォード大学ビジネススクールを卒業し、シンガポールに移住し、シンガポール国籍も取得したシンガポール人です。フォレスト・リー氏はテンセント(以下、騰訊)の最高執行責任者で同社プラットフォーム、コンテンツグループ、インタラクティブエンターとテインメントグループの開発を指揮するYuxin Ren氏と交流が深く、彼もSea Limitedの取締役を勤めています。

Forrest Li - Founder & Group CEO @ Sea - Crunchbase Person Profile

また、SEA Limited傘下のShopee CEOはクリス氏という人で、Zalora(シンガポールのファッション特化のECサイト)やLaxada(アリババ系の東南アジア最大級のECプラットフォーム、今ではShopeeの方がシェア高いw)のグロースを行ってきた凄腕の経営者です。この3名がSea Limitedのキーマンと言って間違いないと思います。情報古かったらすいません。笑

 

◉Sea Limitedはどんな会社か?!

まずはSEA社のミッションをみてみましょう。

 

Our mission is to better the lives of consumers and small businesses with technology.

 

このように書いています。日本語にするとこんな感じでしょうか。

 

テクノロジーを活用して消費者や中小企業のライフを改善する

 

明確に中小企業のことに触れているのが特徴的ですね。彼らの事業を構造化すると大きく3つに分かれます。

 

❶ゲームプラットフォーム事業

❷EC事業

❸金融決済事業

 

さらに構造化していくとこのようなマップが出来上がりますね。ゲーム事業で顧客の満足度と継続率を高めて、EC事業で消費者と中小小売事業者の購買体験を増やし、金融業でオンライン決済や中小企業事業者の融資を推進するというモデルですね。

 

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彼らの競争力の源泉は大きく分けて4つあると思います。

 

❶ゲーム事業で培ったゲーミフィケーションを購買体験に導入

❷地域密着型のUXデザインでその土地の事業者が喜ぶ体験を設計

❸消費者と事業者のソーシャルコミュニティを設計し、丁寧に運用

騰訊による潤沢な投資資金

 

なんだかEC事業についてはAmazonとShopifyのビジネスモデルを足して2で割ったようなモデルになっています。AmazonやShopifyと明らかに異なるのはゲーム事業で圧倒的なDAU(Daily Active user:毎日訪問してくれるユーザーのこと)を叩き出しながら、EC事業に誘客することで、購買の接点を異常なまでに稼いでいる点です。AmazonもPrime会員制度などで差別化を図っていますが、ゲームのそれとは顧客の愛着度が全く異なります。ちょっとゲーム事業の話をしはじめてしまったので、この辺りの詳細を語っていきますね。

 

◉ゲームプラットフォームGarena!

ゲームプラットフォームのGarenaではアジア圏で開発されたゲームコンテンツが大量に開発されています。Garenaの開発者プラットフォームは世界最大級になりつつあります。

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またSEAが手掛けるオリジナルゲームのFreeFireは2020年だけで2億ダウンロードでダウンロード数でいうと世界3位です。やばすぎですね。PUBGやRobloxにも勝っています。FPS(シューティング系のソーシャルゲーム)はFortniteやApex、荒野行動などありますが、これらに圧倒的な差をつけて勝っている理由は何なんでしょうか?実は、FreeFireは解像度を他のアプリよりも落とすことで通信環境が少し悪い東南アジアのユーザーでも容易に使えるようにしたのです。とにかくアプリ自体を軽くすることでユーザーの利用体験がスムーズになるようにしていき、アジアNO.1の地位を確立して行っています。直近のユーザー数は5〜6億人とも言われています。決算数字が楽しみですね。笑

blog.apptopia.com

 

◉ECプラットフォームShopeeとは?!

これまた日本では馴染みのないECプラットフォームですが、シンガポールはもちろん、インドやインドネシア、ブラジルなどに展開しまくっている既存のECプラットフォームをゴボウ抜きしたミラクルECサービスです。世界ショッピングアプリダウンロードランキングではアマゾンに次ぐ2位を獲得1.4億ダウンロードです。破竹の勢いで伸びています。

 

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「東南アジアといえば、Go-jekとかが有名なんじゃないの?」

 

こんな声が聞こえてきそうですが、Go-jekはコロナの影響でライドシェア事業などで苦戦していまして、その隙にSEAのShopeeが圧倒的なスピードで抜き去っていっているというのが現状だと思います。彼らは騰訊からの出資金を事業投資に突っ込みながら、世界中でローカライズされたUXデザイン(地域に合わせた体験のデザイン)を提供し、競合他社に圧倒的な差をつけていっています。

 

「ECといえばアマゾンだし、中小小売事業者向けはShopifyでは?」

 

こんな質問の声も聞こえてきそうなので、Shopeeと、Amazon、Shopifyの比較の絵を作ってみました。ちょっとわかりにくいですかね?すいません。

 

Amazonは社内でも「カスタマーエクスペリエンス(CX)」を圧倒的に大事にしてきた会社でした。また、ジェフ・べゾスの金融リテラシーの高さも相まって、最強のビジネスモデルを作り出し、世界一のECプラットフォーマーとなりました。

 

Shopifyは「アンチAmazon」とも言われていますね。中小小売事業者に寄り添って、彼らが簡単に独自のECサイトを立ち上げられるようにECサイト構築のパッケージを提供することで事業拡大を加速させてきました。日本ではBASEが似たビジネスを展開していますね。

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ではShopeeはどんなビジネスモデルなんでしょうか?簡単に言うとShopifyとAmazonのあいのこのようなビジネスモデルになっています。Shopeeは、

 

❶地域特性に合わせたUX・UIデザインを構築(機械学習で地域最適化)

❷事業者向けの充実したサポートプログラムを構築(融資も行う)

❸購入者・事業者それぞれにコミュニティがあり、購買の情報交換を行う

 

以上3つの特徴があります。Amazonについては、はじめは中小事業者のサービスをECサイト上に載せるが、高利益率になりそうなものについてはプライベートブランド商品を販売して、購入者にとって一番安くて便利なものを提供していくという戦術をとってきました。これは購入者にとっては嬉しいかもしれませんが、中小事業者に脅威でしかないですよね?

 

そこでShopeeは中小事業者を競争させながら、購入者にとって最も良い商品が届けられるように、仕組みを作っていきました。また、購入者が常にお得になるようにゲーミフィケーション的にポイント付与、レベルデザインなどを行うことで、最もお得な購入体験を常に行えるような工夫をデザインしてきました。結果、Amazonに迫る勢いのECプラットフォームになってきたのです。アマゾンに似たビジネスをしているメルカドリブレというECプラットフォームが南米にありますが、私はもしかするとShopeeが追い抜いてしまうのではないかとも思っています。この辺は今後の競争が楽しみですね。

 

◉決済&融資プラットフォームSeaMoney

最後に紹介するのは、SeaMoneyです。Airpayという名前は皆さんももしかしたら聞いたことがあるかもしれません。これを運営しているのがSEAです。SeaMoneyはスクエア社のCashAppのようなC2Cサービスも行っていますし、スクエアのような店舗決済サービスも行っています。

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最近はシンガポール中央銀行がSEAへデジタル銀行の免許を付与しました。これによって彼らは融資業も行えるようになりました。今後はShopeeのパートナーでもある中小事業者の融資業を推進していくと思います。スクエアの時にも書きましたが、決済プラットフォームを押さえているので、SEAは決済履歴をもとにした与信が可能となり、より精度の高い融資が可能になるわけです。スクエアはこれで東南アジア進出が危ぶまれるようになってきましたね。

thebridge.jp

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◉遠隔医療サービスへの参入

SEAが遠隔医療も参入?

 

「ここはテラドックヘルスの牙城でしょ!」

 

とツッコミが入ってきそうですが、KonsultaMD社がShopeeと提携して、資格のある医師に24時間年中無休で即座にアクセスできるサービスを開始するとアナウンスがありました。 KonsultaMD社とShopeeは、共同で遠隔医療についての認識を広めるイベントのであるShopeeMomDaysも開催するそうです。

この辺はまだ詳細のアナウンスが出てきていないので、今後が楽しみですね。SEAの株価は約12兆円。これ以上上がるのか?という声もありますが、どう考えても競合優位性と事業投資のスピード&市場開拓力が異常にあるので、私はアマゾンと肩を並べる企業になるのではと考えています。昔、ソフトバンク孫正義さんが「ゲームを制するものは金融を制する」的なことを言っていましたが、この会社がまさにそれを実現しようとしていますね。末恐ろしい会社です。個人的にはNEXT GAFAMの第一候補と考えています。最後に。あくまで超私見なので、投資は自己責任で。事業開発の参考にして下さい。とりま、スターをポチッと押していただき、購読もポチッとしてもらえると嬉しいです!

 

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